2022.12.21

おすすめの教科書・書籍6〜10

発生生物学および関連分野の知識を学ぶのにおすすめの教科書を紹介します。

6. 長田直樹 著「進化で読み解くバイオインフォマティクス入門
一言で言うと、明日から始めない人のためのバイオインフォマティクス入門。手法の生物学的背景から丁寧に解説。進化を題材として取り上げており、発生生物学研究者の興味にも合いそうです。明日から始めたい人のためのバイオインフォのハンズオン本は坊農秀雅さんらが編集されたものなど良書がいくつもありますが、手法の背景からじっくり学べる本書はそれらと相補的な内容です(杉村薫
https://www.amazon.co.jp/%E5%9D%8A%E8%BE%B2%E7%A7%80%E9%9B%85/e/B078N6R6P8

7. Nicholas. I. Fisher 著「Statistical Analysis of Circular Data」 
Arthur Pewsey, Markus Neuhäuser, and Graeme D Ruxton 著「Circular Statistics in R」 
角度データの平均を計算するのに単に足して割っていませんか?角度データの分散って?形態データを多く取り扱う発生生物学。10年前と比較して、角度統計は普及した感もありますが、学部生や修士学生で馴染みがなければ、一読の価値ありです。(杉村薫

8. Scott F. Gilbert, and David Epel 著「生態進化発生学―エコ‐エボ‐デボの夜明け」 
共生とエピジェネティックスをキーワードにして数多くの文献を読み込んだ著者が多彩な実例をもとにこれからの生物学、発生学、進化学を論ずる。生物は孤立した存在ではなく環境と、他の生物とが合わさったファミリーとして生存と発展を遂げているのだ。(林茂生

9. Lewis Wolpert, and Cheryll Tickle著「Wolpert発生生物学」 
S. Glibertの“Developmental Biology”と双璧をなす発生学の定番教科書。主著者のL. Wolpert博士は肢芽を用いて様々な概念を提案した発生学者。実験発生学的な視点で、動物の発生をわかりやすく解説。現在第6版で、4版は武田洋幸・田村宏治監訳の日本語版もある。講義用に図の電子版が公開されているのは教員にとってうれしい。(武田洋幸)

10. 佐藤純 著「いますぐ始める数理生命科学 - MATLABプログラミングからシミュレーションまで -」 
多くの数理生物学の書籍において、数式をどうやってコンピューター上で扱えば良いのか、どうやってシミュレーションしたら良いのか、ほとんど説明されていないことが多いと思います。この本では全くの初心者がプログラミングの初歩から始めて、具体的な生命現象の数理モデルを構築し、シミュレーションを行うことを目標としており、生物系の学生の方々に最適だと思います。(佐藤純
実験発生生物学と数理生物学の融合研究を精力的に進めている著者による数理生命科学の入門書。前半で、Matlabによるプログラミングの初歩的な内容を学び、後半で、Matlabを用いて、さまざまな生命現象のモデルを数値計算するという構成になっています。細胞分化やモルフォゲンなど、発生生物学者にとって馴染み深いトピックが取り上げられており、初学者が直感的に理解しやすいように工夫されています。(杉村薫


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