2025.12.24
日独合同ミーティング2025 参加報告書 飯川寛子(九州大学)
九州大学
飯川寛子
飯川寛子
この度は、GfE-JSDB exchange meeting for young scientists(ハイデルベルグ)及びGfE summer school(ギュンツブルグ)に参加させていただきました。
私は今回初めて、研究発表のために海外に行きました。また、私自身これまでの人生でドイツに行った経験が一度もなかったので、とても楽しみにしながら現地に向かいました。陸路を合わせると約35時間かけて向かったハイデルベルグですが、プレッツェルやクリスマスクッキー、果物の盛り合わせで盛大にお迎えしてもらい、一瞬で疲れが吹っ飛びました。(Thomas先生が中心となり準備してくださったそうです、ありがとうございます!)我々を含め30人弱がミーティングに参加しており、口頭発表では活発に議論が行われ、日独の多くの若手研究者たちと交流することが出来ました。口頭発表の後は、ハイデルベルグ大学の研究室を見学させていただき、メダカの飼育施設や3D再構成用の特殊な顕微鏡等、また普段それらを用いてどのように研究を行っているかを教えていただきました。ちょうど発表を聴いた直後だったのもあり、それら結果が実際どんな技術を使って得られたものであるかをこの目で見ることが出来て、非常に興味深かったです。
次の日はGfEの先生たちの車に乗せていただき、ギュンツブルグに向かいました。道中、先生のガイドで城がある場所を教えてもらったのですが、曇天・小雨続きで、結局ハイデルベルグ城とギュンツブルグ城の他に見ることはできませんでした。しかし、高校時代地理で習った天候がまさに目の前で起こっていることに感銘を受けました。(ちなみに、夜はからっと晴れており、ギュンツブルグ城の屋上からは天の川と遠くで光る雷のマッチングを見ることが出来ました。)現地でドイツ側からの参加者と合流し、さっそく午後からセッションが始まりました。今回、“細胞はどのように胚を作るのか~オルガノイド、細胞系譜、メカニカルストレスからのアプローチ~”というテーマで開催されました。今回の発表者はモデルとして植物から動物まで多様な生物を選んでおり、3日間興味深く話を聞くことが出来ました。私は、様々な生物の中で「規則正しく配置される」、という現象に興味があります。当然それらはゲノム・エピゲノム情報に基づいてルールに従って配置されているわけですが、発生を縄張りとする我々としてはそれを理解したいと思ってしまいます。今回の演題にも、そのような規則正しい縞々やドット状の遺伝子発現・物質の配置、適切な場所で起こる特定の現象等に着目しているものがあり、大変興味深く聴かせていただきました。それぞれ全く別の生物・スケールで見ているのに、同じような現象が全く違うメカニズムで起こっているということを俯瞰的に見ることが出来、とても面白かったです。皆さんの問題解決方法も本当に多種多様で、分子遺伝学的、光遺伝学的アプローチや、力学的アプローチ、数理モデルの作成及びシミュレーション、またAIを使用している研究もありました。また、目的達成のために新しいソフトウェアを開発している方も多く、問題解決のためにはあらゆる手を尽くすその姿勢から、多くを学ばせていただきました。
私の発表は“The study of molecular mechanism which retain the migrating primordial germ cells in the mesentery”というタイトルで行いました。発表は緊張しましたが、質疑応答及びその後個人的な質問で、実際のPGC移動環境について、過剰発現についての懸念、カルシウムと移動の関係性について等、多数質問・意見を頂くことが出来ました。また、数人の方に「分かりやすい発表だった」と声をかけて頂き、言語の壁を越えて研究について自身の研究が伝わっていることに感動しました。
しかしながら、今回のsummer schoolで自身の課題点も浮かび上がりました。それは、英語で聞いていると特に、一度話が分からなくなった時に、その後の展開の意味を見失いやすいということです。なぜ見失うかといいうと、やはり、英語の使用機会が日本では極端に少なく、英語で話を聴き続けることに慣れていないからだと思います。ここに関しては今後より鍛錬が必要だと感じました。ポスターセッションでは特に積極的に質問することによって、この問題をリカバーすることが出来ました。お互いに知りたい・伝えたいという気持ちでコミュニケーションを取り、私にとっては全く分野外の研究について理解できた時、コミュニケーションを諦めなくて良かった、と思いました。
実は2年前仙台で開催された日独若手ミーティングに参加していたのですが、その時出会った若手研究者数人に、時を経て会うことが出来ました。お互い顔を覚えており、2年間どんな研究生活を送っていたのか、またこれからの人生についてなど、いろいろと語り合いました。お互いに発生の研究を続けている限り、どんなに遠くてもまたきっと会えるのだなと実感しました。
最後に、本ミーティングの企画・選考等に関わってくださった日本発生生物学会及びドイツ発生生物学会の関係者の皆様方に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
私は今回初めて、研究発表のために海外に行きました。また、私自身これまでの人生でドイツに行った経験が一度もなかったので、とても楽しみにしながら現地に向かいました。陸路を合わせると約35時間かけて向かったハイデルベルグですが、プレッツェルやクリスマスクッキー、果物の盛り合わせで盛大にお迎えしてもらい、一瞬で疲れが吹っ飛びました。(Thomas先生が中心となり準備してくださったそうです、ありがとうございます!)我々を含め30人弱がミーティングに参加しており、口頭発表では活発に議論が行われ、日独の多くの若手研究者たちと交流することが出来ました。口頭発表の後は、ハイデルベルグ大学の研究室を見学させていただき、メダカの飼育施設や3D再構成用の特殊な顕微鏡等、また普段それらを用いてどのように研究を行っているかを教えていただきました。ちょうど発表を聴いた直後だったのもあり、それら結果が実際どんな技術を使って得られたものであるかをこの目で見ることが出来て、非常に興味深かったです。
次の日はGfEの先生たちの車に乗せていただき、ギュンツブルグに向かいました。道中、先生のガイドで城がある場所を教えてもらったのですが、曇天・小雨続きで、結局ハイデルベルグ城とギュンツブルグ城の他に見ることはできませんでした。しかし、高校時代地理で習った天候がまさに目の前で起こっていることに感銘を受けました。(ちなみに、夜はからっと晴れており、ギュンツブルグ城の屋上からは天の川と遠くで光る雷のマッチングを見ることが出来ました。)現地でドイツ側からの参加者と合流し、さっそく午後からセッションが始まりました。今回、“細胞はどのように胚を作るのか~オルガノイド、細胞系譜、メカニカルストレスからのアプローチ~”というテーマで開催されました。今回の発表者はモデルとして植物から動物まで多様な生物を選んでおり、3日間興味深く話を聞くことが出来ました。私は、様々な生物の中で「規則正しく配置される」、という現象に興味があります。当然それらはゲノム・エピゲノム情報に基づいてルールに従って配置されているわけですが、発生を縄張りとする我々としてはそれを理解したいと思ってしまいます。今回の演題にも、そのような規則正しい縞々やドット状の遺伝子発現・物質の配置、適切な場所で起こる特定の現象等に着目しているものがあり、大変興味深く聴かせていただきました。それぞれ全く別の生物・スケールで見ているのに、同じような現象が全く違うメカニズムで起こっているということを俯瞰的に見ることが出来、とても面白かったです。皆さんの問題解決方法も本当に多種多様で、分子遺伝学的、光遺伝学的アプローチや、力学的アプローチ、数理モデルの作成及びシミュレーション、またAIを使用している研究もありました。また、目的達成のために新しいソフトウェアを開発している方も多く、問題解決のためにはあらゆる手を尽くすその姿勢から、多くを学ばせていただきました。
私の発表は“The study of molecular mechanism which retain the migrating primordial germ cells in the mesentery”というタイトルで行いました。発表は緊張しましたが、質疑応答及びその後個人的な質問で、実際のPGC移動環境について、過剰発現についての懸念、カルシウムと移動の関係性について等、多数質問・意見を頂くことが出来ました。また、数人の方に「分かりやすい発表だった」と声をかけて頂き、言語の壁を越えて研究について自身の研究が伝わっていることに感動しました。
しかしながら、今回のsummer schoolで自身の課題点も浮かび上がりました。それは、英語で聞いていると特に、一度話が分からなくなった時に、その後の展開の意味を見失いやすいということです。なぜ見失うかといいうと、やはり、英語の使用機会が日本では極端に少なく、英語で話を聴き続けることに慣れていないからだと思います。ここに関しては今後より鍛錬が必要だと感じました。ポスターセッションでは特に積極的に質問することによって、この問題をリカバーすることが出来ました。お互いに知りたい・伝えたいという気持ちでコミュニケーションを取り、私にとっては全く分野外の研究について理解できた時、コミュニケーションを諦めなくて良かった、と思いました。
実は2年前仙台で開催された日独若手ミーティングに参加していたのですが、その時出会った若手研究者数人に、時を経て会うことが出来ました。お互い顔を覚えており、2年間どんな研究生活を送っていたのか、またこれからの人生についてなど、いろいろと語り合いました。お互いに発生の研究を続けている限り、どんなに遠くてもまたきっと会えるのだなと実感しました。
最後に、本ミーティングの企画・選考等に関わってくださった日本発生生物学会及びドイツ発生生物学会の関係者の皆様方に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
Day0イベントでのウェルカムスナック。初めてこんなに大きなプレッツェルを見たので驚きました。
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集合写真を撮ってくれているThomas先生。
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