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マウス背根神経節における感覚神経およびグリア細胞への発生運命の制御機構


大田 光徳  伊藤 一男

阪大・院理・生物


背根神経節は体幹神経冠細胞由来の感覚神経節である。神経冠細胞は多分化能をもった細胞集団であり、これらが特定の細胞種へと分化する際、周囲の環境因子によって発生運命の決定がおこる。このような決定機構は、発生過程で重要な役割を果たしているが、その具体的な制御についてはほとんど明らかになっていない。背根神経節はその発生運命の決定に、転写因子neurogenin-1(ngn-1)とneurogenin-2(ngn-2)が働いていることが分かっている。特にngn-2は背根神経節細胞分化の初期に発現しており、発生運命の決定において主要な役割を担っていると考えられる。我々は体幹神経冠細胞の背根神経節への決定機構において、Notch signalingとシグナル分子がどのように相互作用してngn-2の発現を調節しているのか、更にそれによって背根神経節を構成する感覚神経、および神経細胞同様に重要な分化形質であるグリア細胞の発生運命の違いがどのように生み出されているのかを明らかにしようと試みた。これまでの我々の研究より、BMP-4がngn-2の発現を促進してngn-2特異的な感覚神経細胞の分化を促進することが分かった。その一方でFGF-2はNotch signalingを介してngn-2の発現を抑制し、ngn-2 特異的な感覚神経の分化を抑制していることが明らかになった。また、これら神経分化に働く因子が、グリア細胞への分化に対して、どのように影響しているのかを調べた。その結果、BMP-4により神経冠細胞のグリア細胞への分化が抑えられることが分かった。その一方で、FGF-2はNotch signalingを活性化することによりグリア細胞への分化を促進していることも明らかとなった。以上の結果より、体幹神経冠細胞の背根神経節への発生運命の決定には、BMP-4およびFGF-2 さらにNotch signalingが重要な役割を果たしていると考えられる。


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