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オタマボヤの飼育法、発生、原腸陥入について


西尾 孝也  西田 宏記

阪大・院理・生物


脊索動物門・尾索動物亜門に属するオタマボヤ類(Appendicularia)はホヤ類とは異なり、終生尾を持ち続け、成体でも非常に簡単な構造をしている。ホヤと同様に進化的かつ発生学的に興味深い生物である。特にワカレオタマボヤ(Oikopleura dioica)は以下の点において、モデル生物に発展する可能性を強く秘めている。1.尾索動物亜門の中でオタマボヤ綱は生涯尾を持ち続け、脊椎動物と共通のボディープランを一生保持する。2.生活環が早く、ワカレオタマボヤの場合18℃で5日後に成体になり次の世代を作る。3.研究室内で継代飼育が可能。4.雌雄異体であり遺伝学的実験に適している。5.ゲノムほとんどシークエンス済みで、ゲノムサイズが64Mb(哺乳類の1/50、ホヤの40%)、遺伝子数が約15,000と少ない。6.構成細胞が少なく、例えば筋肉細胞は20個、脊索は10細胞からなる。7.胚は透明で、顕微鏡観察に適している。しかし、初期発生についての記述はDelsman (1910)により報告されているのみである。今後、ワカレオタマボヤの発生生物学を展開していくにあたって、初期胚発生を詳細に記載することが重要な課題になると考えられる。今回、植物性プランクトンを餌として、初めて人工海水を用いた実験室内継代飼育方法の確立に成功したので報告する。現時点で、約30世代連続継代している。常に成熟したオスとメスが採集できるようになったことで、場所・時間を問わずオタマボヤの実験ができるようになった。さらに、ワカレオタマボヤの胚・幼生・成体の構造をタイムラプスビデオおよびノマルスキー顕微鏡で詳細に観察した。初期卵割は非常に早く、13℃において受精後6時間で頭と尾を持ったオタマジャクシ型幼生が孵化、18.5時間でほぼ成体に見られる器官がそろった。原腸陥入は、32細胞期から始まりその過程についても報告する。


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