三宅 顕三1,6 斎藤 大樹2 山本 章嗣3 鈴木 徹4 中辻 憲夫5 ○中辻 孝子1
東海大・院海洋・海洋生物1,北大・院水産2,関西医大・生理3,独法・水研センター4,京大・再生5,現・東大・院理・生物科学6
私達は、スズキ目ハゼ科に属する海産魚であるシロウオ(Leucopsarion petersii)から全長1941bpの始原生殖細胞特異的マーカー遺伝子であるvasa相同遺伝子をクローニ ングした。 プローブとして383bpのvasa断片を用いた。Whole mount in situ hybridization(WISH)によるmRNAの局在についてはすでに報告したが、シロウオのvasa mRNAは2細胞期胚の卵割面の両端に2ヶ所に、4細胞期では、第1・第2卵割面の両端に計4スポットを観察し た。8細胞期には、下部割球の卵割面と卵黄細胞との間に4スポットを維持しているが、16細胞期には上部割 球の卵割面と下部割球の間に新たに、4ヶ所局在し、計8スポットを観察した。32細胞期には、8個の細胞内に 取り込まれる。胞胚期には、vasaを取り込んだ細胞は数を増やし、30体節期には生殖隆起に到達した 。 4細胞期胚を用いて電子顕微鏡観察を行ったところvasaが局在していると思われる部位のみにショウジ ョウバエなどで生殖系列の細胞のみに観察できるnuage様構造を観察できた。 WISHと電子顕微鏡観察から、4細胞期にvasaの局在部位とnuage様構造物の存在部位が一致している と考えられ、特定できる部位に局在することから、生きた状態でvasaの局在部位、nuage様構造物の存 在部位を想定できる。 今回は、想定した部位、すなわち、vasa mRNAが局在していると思われる部位2ヶ所あるいは4ヶ所から細胞質を各々50pl除去した。その後、神経胚 期あるいは受精後5日目まで培養し、WISH法を用いてvasa 陽性細胞数を測定し、始原生殖細胞数の変化を調べた。除去した結果、vasa陽性細胞の明らかな減少 が観察できたので報告する。
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