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再生過程におけるプラナリア神経回路網形成に関わる遺伝子の探索


岡本 圭司1,2  武内 恒成2  阿形 清和1

理研・CDB・進化再生1,名大・院理・生命2


プラナリアの中枢神経系は頭部の脳と体幹部の腹側神経索から構成されており、原始的な脳を持 つ動物として考えられている.また、プラナリアの高い再生能を持つために脳の神経回路網形成を何度でも短 期間に調べられる特色をもつ.これまで中枢神経系において神経トレーサーDiIを利用した神経回路網の解析 を行ない、視神経が脳内側部で同側・反対側に投射して視交差を形成するだけでなく、反対側に投射する神経 のいくつかは直接反対の眼に投射していることを明らかにした.また9対のlateral branchを形成する化学受容神経の軸索は各lateral branchの基部に投射し、化学受容体が分布すると思われる突起部分は表皮層に露出していた.逆U字型をし た脳のスポンジ部分では左右の脳を繋ぐ交連性神経が弧状に3層見られ、これらは脳背側に特徴的であった. また交連性神経は化学受容神経の投射領域と重複していた.腹側神経索は脳の腹側でメッシュ状に繋がって おり、光・匂・味などの感覚情報は交連性の神経などを介して統合された後、脳の腹側から腹側神経索へ送ら れていると考えられた. 再生過程のトレーサー解析から視神経は2段階の形成様式を示すことが分かった.再生2.25日から、まず反対 の眼に投射が行なわれ、次に脳の内側部への投射が行なわれていた. 我々はプラナリアの神経回路網形成の分子基盤を明らかにするために、ESTリストから神経回路網形成に関 わる可能性のある遺伝子についてRNA干渉法で、機能解析を行なっている.


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