○兼森 芳紀1 宇都 克裕2 志牟田 健3 佐方 功幸2
九大・院システム生命・分子生命1,九大・院理・生物科学2,感染研・細 菌第一3
ツメガエルの受精卵はS/M期のみからなる12回の連続した卵割を行った後、中期胞胚遷移(MBT)
において同調性を失い、細胞周期を伸長させる。Cdc25Aは卵割期特異的に発現するフォスファターゼであり、
Cdc2,
Cdk2を活性化させることで細胞周期の速やかな進行に重要な役割を果たしている。我々は前年度の大会で、
MBTにおいてDNA複製チェックポイントが機能し、そのエフェクターであるChk1キナーゼの活性化が細胞周期
の伸長に必須であること、MBTにおいてChk1がCdc25Aをリン酸化し、分解に導いていることを報告した。
今回我々は、MBTにおけるCdc25Aの分解メカニズムを詳細に解析した。Chk1によるCdc25Aのリン酸化部位
を同定するため、Chk1によるリン酸化のコンセンサス配列(RXXS)を含む6つのGSTペプチドを作成し、in
vitroでリン酸化アッセイを行った。その結果、Cdc25AのSer120, 137, 190,
295がリン酸化された。これら4つのSerを全てAlaに置換した変異体(Cdc25A-
4A)はChk1による分解をほとんど受けなくなった。しかしながら、4つのAlaのうちいずれか1つをSerに戻した変
異体は、いずれも分解され易くなった。これらの結果は、Chk1がCdc25Aの4つのSerのうちの少なくとも1つをリ
ン酸化することで分解を引き起こすことを示唆している。
Cdc25AはN末端に調節領域を持つが、ここにはPESTスコアの高い領域が存在する。この領域の分解への必
要性を明らかにするため、Alaスキャニング実験を行った。その結果、PEST配列内の多くのアミノ酸がMBTにお
ける分解に必須であった。以上の結果から、MBTにおけるCdc25Aの分解には、少なくとも4つのSerのリン酸化
、及びN末端領域のPEST配列が重要であることが明らかになった。
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