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ゼブラフィッシュ胚におけるhoxb1bの転写制御および後脳位置情報の解析


石岡 亜季子1  神藤 智子2  武田 洋幸2  弥益 恭1

埼玉大・理・生体制御1,東京大・院理・生物科学2


ゼブラフィッシュhoxb1bは、原腸形成期において後脳の第4菱脳節を前端として後方神経 板に発現する転写因子遺伝子であり、後脳の前後軸に沿って位置価を与えるとされる。従って hoxb1bの転写制御は中枢神経系の前後軸に沿ったパターニングの分子機構を反映すると考えられる。
今回、我々は遺伝子導入およびレポーターアッセイにより、hoxb1bの転写調節機能を検討した。まず、 上流-8.1 kbから第2exonの5' 末端までをGFP遺伝子につないだコンストラクト(p5'hoxGFP) を胚に導入し、導入胚およびトランスジェニック胚(F1, F2)でGFP 発現を解析した。その結果、上流8.1 kbは体節形成期以降に後方神経管で内在性hoxb1b遺伝子と同様のGFP発現を誘導した。しかし、p5'h oxGFPは内在性hoxb1bと異なり、原腸形成期では発現しなかった。次に、p5'hoxGFPにさらに下流5.0 kb領域を組み込み(p3'5'hoxGFP) 、胚に注入して導入胚でのGFP 発現を検討したところ、中期原腸胚期 (70% epiboly)以降内在性hoxb1bと同様の発現領域特異性を示した。以上より、上流8.1 kb はhoxb1bの体節形成期での発現に十分であるが、原腸形成期の発現にはさらに下流5.0 kbが必要であると考えられた。引き続き、我々はWnt シグナル、レチノイン酸等の後方化因子によるhoxb1bの発現制御機構の解析を行った。胞胚期でのLiC l処理によるWntシグナルの活性化、あるいはレチノイン酸処理によりhoxb1bの発現は胚の前方に拡大 するが、これらの発現の拡大は、p3'5'hoxGFP 導入胚でのGFP 発現についても同様であった。従って、hoxb1bのWntシグナル、レチノイン酸による制御を担う調節領域 が上流8.1 kbおよび下流5.0 kb内に含まれると考えられた。現在、以上のhoxb1b転写制御に関わる調節領域の特定を進めている。


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