○黒川 大輔 高崎 延佳 清成 寛 永吉 さおり 中尾 和貴 木村-吉田 千春 松尾 勲 相澤 慎一
理研CDB
マウスOtx2 遺伝子は、遺伝子欠損変異体の解析などから前・中脳の形成に重要であることが明らかになっている。我々は Otx2遺伝子の発現調節カスケードの解析から、前中脳領域発生の分子的機序の理解を目指し、Otx2発現調 節領域の同定とその解析を行った。 LacZをレポーターとしたトランスジェニックマウスを用いた解析の結果、Otx2翻訳開始点上流- 80kb付近、および下流- 115kb付近にマウス胎生8.5日目以降において、前中脳領域特異的な発現を担うシスエレメントを同定すること が出来た。両エンハンサーの細分化・点変異の導入の結果から、両者は異なる転写因子による調節を受けて いることが示唆された。 同定したシスエレメントそれぞれを欠失したノックアウトマウスを作成したが、いずれの場合もホモ欠損マウス で前中脳領域での発生異常は認められず、両者は相補的に働いていることが示唆された。これらのエンハン サー欠失変異体とOtx2+/-もしくはOtx1+/- マウスとの交配を行い、様々な遺伝子型のマウスを作成したところ間脳・中脳領域における発生異常が認めら れた。これらの突然変異体の遺伝子型から予想されるOtx1、Otx2の発現量の低下と、中脳・間脳領域におけ る発生異常の重篤性には明瞭な相関関係が認められた。 本大会では、これらのエンハンサー解析の結果から見出された前中脳領域でのOtx2遺伝子転写活性化機構、 およびノックアウトマウスの解析によるOtx遺伝子の前中脳領域化における役割について考察したい。
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