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アフリカツメガエルのNotchリガンドX-Serrate- 1の細胞質内領域による一次神経形成の制御機構の解析


清田 知三  宮谷 精二  木下 勉

関西学院大・理工・生命科学


ショウジョウバエの光受容体や翅脈形成において、DeltaはNotchの細胞質外領域(ECD)と結合し てcis- endocytosisを起こすことにより、Notchシグナルを活性化する傍ら、細胞質内領域(ICD)欠損型Deltaではそれ を阻害する可能性が報告され、ICDの重要性が示唆された。我々は、NotchリガンドのICDの役割について、Ser rateとDeltaのICDの機能について比較検討してきた。脊椎動物のNotchリガンドのICDにはnuclear localization signal (NLS)が保存されており、SerrateのツメガエルホモログX-Serrate-1のICD (XSICD)が核移行し、一次神経形成を抑制すること、dominant- negative型リガンドによる表現型をXSICDの共発現がレスキューすること等を示した(第24回日本分子生物学 会、第35回本大会)。全長X-Serrate- 1は細胞膜上に存在するため、XSICDが核に移行する為には、XSICDが切断される必要がある。そこで、tagを つけたX-Serrate-1をツメガエル胚で発現させ、免疫沈降法を用いて検討した結果、神経胚期において全長X- Serrate-1が切断され、ECDとICDに相当する産物が存在することを確認した。一方、X-Delta- 1は切断されず全長として存在することが分かった。また、XSICDによる一次神経形成の抑制効果が従来のNo tchシグナル経路を介しているかを検討するために、Notchシグナルのターゲット遺伝子、XESR- 1の発現を解析したところ、その活性上昇が認められなかった。これらの結果は、X-Serrate- 1のICDが切断を受けて核に移行し、canonicalなNotchシグナルとは異なる経路により、一次神経形成を抑制 する新たなシステムが存在する可能性を示唆している。


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