○山田 竜一1 古関 明彦2 長谷川 孝徳2 大隈 典子3 高橋 直樹1
奈良先端大、バイオ1,千葉大、院医、発生生物2,東北大、院医、器官 構築学3
Mab21l1は抗体を用いた免疫精製法によりHOX-C4 の標的候補遺伝子として同定された遺伝子であり、線虫のmab- 21遺伝子のマウスホモログであった。線虫mab- 21の変異体は胚生致死、あるいは生殖感覚器の形成異常を起こすことが知られている。また、mab- 21は線虫、マウスのみならず、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、カエル、ヒトでも高度に保存されており、フ ァミリーを形成していると考えられる。しかし、mab- 21ファミリーは既知の遺伝子と相同性がないため、その機能に関しては全く未知である。そこで、Mab21l1の生 体内での役割を明らかにするために、Mab21l1遺伝子欠損マウスを作製した。Mab21l1欠損マウスはレンズ、 および包皮腺に形態形成異常が認められた。また、Pax6突然変異マウスにおいてMab21l1の発現が減少して いたことから、Mab21l1とPax6の遺伝学的相互作用が示唆された。キメラマウスにおける各細胞の組織分布を 調べた結果、Mab21l1-/- 細胞は網膜で認められたが、レンズには全く認められなかった。このことから、レンズ形成においてMab21l1は 細胞自律的に機能することが示唆された。以上の結果から、Mab21l1がマウス発生過程において、重要な役割 を果たすことが明らかとなった。 マウスにはmab- 21ファミリーに属するMab21l2が存在する。本大会ではMab21l2欠損マウスの表現型も合わせて報告する。
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