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脊椎動物の眼形成におけるFgf19遺伝子の役割


黒瀬 仁美  美藤 高明  平野 博人  清水 美幸  安田 晴美  野地 澄晴  大内 淑代

徳大・院工・生物


我々は、網膜細胞の発生分化に関与する遺伝子群を単離する目的で、ニワトリ胚神経網膜cDNA ライブラリーを用いてEST解析を行なっている。その過程で, 細胞間相互作用に関与する様々な遺伝子群が発生期の網膜に発現していることがわかってきた。そのなかで 特にFgf19に注目し, 眼の発生分化における役割を調べている。まずその遺伝子発現パターンをin situ hybridization法により調べた。Fgf19は発生段階初期から原始線条に発現し, 発生の過程で体節や肢芽後部の外胚葉性頂堤, 鰓弓に発現するなど, 他のFGFと関連のある発現様式を示していた。神経系においては, 発生初期の後脳および髄脳背側部に発現し, 眼では水晶体と網膜の一部に発現することがわかった。網膜では, 孵卵5日目ごろから将来, 水平細胞が発生してくる内顆粒層の硝子体側に発現しはじめ, 孵化まで水平細胞に発現し続ける。水晶体では、水晶体プラコードが形成される時期から発現し、分化が進む とその発現は赤道部に限局する。次に、マウスにおいてFgf19と最も相同性の高いFgf15の眼の 発生分化における発現パターンを調べた。その結果、マウスFgf15は水晶体上皮細胞および網膜前駆 細胞に発現し、発現パターンがニワトリFgf19と異なることがわかった。
現在, 眼の発生分化におけるFgf19の役割をさらに明らかにするために, エレクトロポレーション等を用いてニワトリ眼胞および水晶体へのFgf19遺伝子の異所性発現を試みて いる。


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