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Hes7による分節時計の分子メカニズムの解析


別所 康全  平田 普三  正水 芳人  影山 龍一郎

京大・ウイルス研


体節は未分節中胚葉(PSM)が2時間周期で分節化することで形成される。PSMでいくつかの遺伝 子発現が体節形成周期と一致してオシレーションし、それが分節時計として体節形成の周期性を規定している 。我々はこれまでに、オシレーション分子Hes7のKOマウスを作製し、Hes7が遺伝子発現のオシ レーションと体節形成の両方に必要であることを示した。我々は分節時計の分子メカニズムを明らかにする目 的で、Hes7の発現のオシレーションのメカニズムを解析した。 Hes7タンパクはプロテアソーム系の分解をうけるため不安定であり、その発現はmRNAの発現と同様にPSM においてオシレーションしていることを示した。次にHes7のイントロンのプローブを用いてHes7 が転写されている領域を同定し、タンパク発現と比較すると、Hes7タンパクが存在しない領域でHes7は 転写されていることが明らかになった。Hes7KOマウスではHes7のプロモーターは常に活性化さ れており、また、プロテアソームインヒビターを使ってHes7を安定化すると、Hes7の転写は常に抑制さ れていた。また、別のオシレーション分子lunatic frigeの転写も同様にHes7による制御を受けていることを示した。これらの結果はHes7がnegative feedback loopを形成し、Hes7lunatic fringeの発現のオシレーションが作り出されていることを示している。このことから分節時計はHes7 によるnegative feedback loopを利用して、遺伝子発現の周期性を作り出すことが明らかになった。


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