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periostinのゼブラフィッシュ筋間中隔・体節筋形成における役割


工藤 久智1  荒木 和男2  網塚 憲生3  工藤 明1

東工大・院生命理工・生命1,独法・水研センター・養殖研2,新潟大・院 医歯・口腔3


魚類の筋間中隔 (myoseptum)は体幹部の筋節間を仕切る結合組織層であり、密に配向したコラーゲンが主体となっている。ま た、ホ乳類の腱と組織・構造・機能的に類似し、筋肉の収縮力を骨や隣接の筋肉等に伝える役割を担い、脊椎 動物の運動に不可欠な組織である。今回我々はperiostinが筋間中隔及び体節筋形成に関与していることを明 らかにしたので報告する。マウスperiostinは成体において骨膜、歯根膜に特異的に発現し、胎児期には筋膜、 関節靭帯の細胞外マトリックス中に一過的に分泌されるファシクリンI関連タンパクである。従って、細胞移動、 細胞間相互作用、形態形成への関与が示唆されているが、その機能は未だ明らかでない。
まず我々はperiostin遺伝子のゼブラフィッシュホモログを単離し、in situ ハイブリダイゼーションによる発現解析を行い、胚発生過程における詳細な観察を試みた。5?6体節期から分 節後の体節前半部に発現が開始し、その結果として分節的なパターンが観察された。その後、発現部位は体 節(筋節)の分化に伴い、体節境界部(筋間中隔)および体節?上皮境界に移行し、筋節を取り囲むように発現す ることが明らかになった。さらにウサギポリクローナル抗体を作成し、免疫組織染色法により、periostin蛋白は 筋間中隔に局在することを見い出した。またmorpholinoアンチセンスによりperiostinの発現を阻害し、光学・電 子顕微鏡像の観察の結果から、筋間中隔の一部欠損、筋線維の分化・発達の遅延、筋間中隔?筋線維束間の 結合異常が明らかになった。
以上の結果より、periostinは筋間中隔に分泌され、筋線維束の筋間中隔への結合および筋線維分化に必要で あることが示された。


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