○穂積 俊矢1 前田 礼男1 南 麻子1 谷口 喜一郎1 大池 雅1 笹村 剛司1,2 相垣 敏郎3 村上 柳太郎4 松野 健治1,2
東京理科大・基礎工・生物工1,PREST・JST2,都立大・理・生物3,山口大・理・自然情報4
ほとんどの動物の内臓器官は種固有の決められた三次元パターンで配置されており、これらは遺
伝的に制御されている。私たちは、内臓の三次元配置を決定する遺伝的機構に興味を持ち、遺伝学的、発生
学的研究が進んでいるショウジョウバエの消化管に注目した。
ショウジョウバエの胚の消化管は、前、中、
後腸から構成されており、それぞれが胚発生の過程において伸長、屈折、回転することで、発生の各段階で決
まった三次元配置をとりながら徐々に複雑な構造をとる。野生型胚の前、中、後腸の三次元形態を、timelaps撮
影により、経時的に観察した結果、消化管の三次元構造が明瞭な左右非対称性を示すことが詳細に観察でき
た。そこから、ショウジョウバエの特徴である遺伝的手法を用いて、消化管の左右非対称性を成り立たせる遺
伝的ネットワークを総括的に理解することが本実験の目的である。
timelaps撮影の結果をもとに、前、中、
後腸の三次元構造における左右性の成立で機能する遺伝子を同定する目的で、消化管の左右性に異常を示
す突然変異体の遺伝的検索を行った。トランスポゾンの挿入による劣性致死突然変異体、およそ1000系統の
ホモ接合体胚を作出し、前、中、後腸の逆位の有無を検索した。その結果、後腸の左右性が、およそ30%逆位に
なる突然変異体left-turn
や、中腸と後腸の左右性が、およそ50%ずつランダムになる突然変異体souther、hidarikikiを同
定することができた。同定した遺伝子の機能と左右性の関係に関して詳細に調査し、まとめた結果を報告した
い。
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