○坂田 恵美 林 眞一 山崎 英俊
鳥大・医生命・免疫
(目的)神経堤細胞は多分化能を持った細胞で、甲状腺、胸腺、心臓等の組織発生に深く関与している。今回、
我々はマウスではこれまで明らかにされていない胸腺における多分化能を持った神経堤細胞の存在と、その
存在時期を検討した。
(方法)コロニーアッセイを用いて、胎仔胸腺の細胞から神経堤細胞に由来する色素細胞と神経系細胞を同時
に誘導可能かを検討した。胎生14.5日の野生型マウス胎仔胸腺の細胞を、エンドセリン3・デキサメサゾン・ヘ
レグリン・フォルスコリン存在下でストロマ細胞株ST2と14日間共培養し、神経系細胞特異的抗体染色を行った
。この培養系を用いて誘導可能であった色素細胞と神経系細胞が神経堤細胞由来であることを確かめるため
に、神経堤細胞を特異的に標識可能なP0-Cre/Rosa26R
マウスを用いた。この場合、上記と同様の培養後に、LacZ染色と神経系細胞特異的な抗体染色を行った。また
、胎生11.5?17.5日のP0-Cre/Rosa26R
マウスをLacZ染色し、胸腺における神経堤細胞の存在を検討した。
(結果)胎生14.5日のマウス胎仔胸腺には神経堤細胞由来の細胞系譜である、色素細胞・神経系細胞に同時
に分化可能な細胞が存在した。P0-Cre/Rosa26R
マウスを用いることでこうした細胞が神経堤細胞に由来することが確かめられた。さらに、このマウスを用いて
胎生12.5?16.5日の胎仔胸腺には神経堤細胞が特異的に存在することが確かめられた。
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