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小腸粘膜上皮におけるNotch, Hes-1, Musashi1の発現分布


浜田 新七  辻本 ユカ

京府医大・病理


【背景と目的】消化管粘膜上皮は終生にわたって更新を繰り返している.小腸では陰窩に存在す る未分化な増殖細胞から吸収上皮細胞、杯細胞、パネート細胞、内分泌細胞が生み出されているが, その分化決定機構は不明なところが多い.これまでの著者の研究からは, 小腸粘膜上皮ではMusashi1が内分泌細胞やパネート細胞の運命決定に関与していることが示唆されている. 一方, 感覚細胞や神経系細胞ではMusashi1がNotchシグナル経路を介してその運命決定機構に関与すると報告され ている.今回, 小腸粘膜におけるNotchとHes-1の発現分布を検討し, 前回報告したMusashi1の発現分布と比較したので報告する.【方法】マウス小腸を4%パラフォルムアルデヒドに て固定後パラフィン包埋した.4ミクロン切片を作製し, 免疫組織学的検索を行った.一次抗体には, Notch 1, Notch 2, Notch 3, Notch 4, Hes-1に対する抗体を用いた.【結果】小腸でとくに強く発現していたのはNotch 2であった.小腸を領域別に見た場合には小腸下部(回腸)にNotch 2の発現が強く, 細胞種類別では絨毛の吸収上皮細胞と陰窩の内分泌細胞の一部にNotch 2の発現を認めた.Hes- 1は絨毛の吸収上皮細胞に発現しており, その分布は空腸において断続的であったが, 回腸においては連続的であった.【考察】回腸粘膜絨毛部の吸収上皮ではNotch 2とHes- 1の発現が重複していることから, Notch 2がHes-1の上流に位置すると推定された.また, 回腸陰窩の一部の内分泌細胞(substance P/serotonin/glucagon/GLP-2)においてNotch 2とMusashi1が共発現していることから, Notch 2とMusashi1の関連が示唆された.


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