○辻井 仁美 山田 秀俊 吉江 幸司 押村 光雄 白吉 安昭
鳥取大・医・細胞工学
Notchシグナル伝達系は、細胞間相互作用により細胞運命の決定を行っており、また進化的によ く保存された、生物の発生過程において必須なメカニズムである。Notchシグナル伝達機構としてよく理解され ているのが、側方抑制である。この側方抑制機構は初期に生じたNotchシグナルの強弱が増幅固定され、Not chシグナルのon/offへとつながり、それに基づいて細胞の分化が促進あるいは抑制される現象である。また 逆にNotchシグナルを均一に保つことで細胞集団の未分化状態が維持されると考えられる。このようにNotch シグナルの量的な制御機構は、細胞の発生・分化パターンを決定する重要な要素と考えられるが、その詳細 はまだよくわかっていない。 今回我々は、活性型Notch4によるNotch4の自己活性化を見い出した。さらに、この自己活性化にかかわるシ スエレメントを探索したところ、ヒトとマウスでよく保存された第1イントロンにNotch4応答性エンハンサーが存 在していることを明らかにした。また、Notch4応答性シスエレメントは活性型Notch1にも応答することがわかっ た。Notch1はNotch4と同じく血管内皮細胞に発現が認められ、内皮細胞の分化に関わっていることが知られて おり、Notchシグナルが互いに作用することによってシグナル活性化を適切に調節し、血管内皮細胞の発生・ 分化を制御していることが予想される。
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