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ゼブラフィッシュ血管突然変異体bjm (blood jam )の解析


江本 裕美1  岡本 仁2  工藤 明1  今井 義幸1

東工大・生命情報1,理研・脳センター・発生遺伝子2


blood jam(bjm)変異体は血流がなく、受精2日後から心臓・血管に水腫がみられるようになり、一週間で死 に至る。この変異体ではcmlc2などの心臓マーカーやgata1などの血球マーカーは正常に発現す ることから、心臓および血球はほぼ正常に発生すると推定された。しかし血球の挙動を調べてみると、血島で 正常に一次造血が行われた後に心臓へと移動できず、後主静脈に蓄積することがわかった。そこで血管マー カーであるflk1を用いてin situ hybridizationをおこなったところ、背側大動脈や前主静脈・後主静脈では正常な発現がみられるものの、後主 静脈から心臓へと血液を運ぶ総主静脈でのみ発現がまったく観察できなかった。以上のことから、bjmは 総主静脈の形成不全により血流がないと推定された。また総主静脈が他の血管とは異なった分子機構により 形成される可能性が示唆された。bjmはLG12にマップされ、現在ポジショナルクローニングを試みてい る。bjm遺伝子の同定により、総主静脈を形成させる分子機構の解明が期待される。


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