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左右決定因子inv 蛋白質の局在と機能


渡辺 大介1,3  西條 幸男1  野中 茂紀1,2  佐々木 玄太1  井川 弥生1,2  浜田 博司1,2

阪大・生命機能1,科技団・戦略2,北里大。理3


inv 遺伝子はその遺伝子の変異をホモに有する個体において左右軸の逆転を引き起こす原因遺伝子である。現在 までにこのinv遺伝子はN末端側にアンキリン配列を有する蛋白質であることが判明しているがその左右軸決 定における機能についてはよく解かっていない。今回inv全長またはアンキリン領域とGFPの融合蛋白を発現 するトランスジェニックマウスを作製し、その融合蛋白質の局在並びに機能領域についての解析を行った。Inv 全長とGFPの融合蛋白質をinv ホモ変異マウスに発現させたところ、この変異マウスにおいて発症する左右軸の逆転、並びにpolycystic kidneyがrescue され、今回用いたinvとGFPの融合蛋白質が生理的に機能している事が解った。次にこれらトランスジェニック マウスより初代培養細胞を樹立し、その存在部位を調べたところ、細胞の中心体および線毛(cilia)、またマウス 組織においては、初期胚 のnode並びに腎臓 尿細管に存在する線毛に局在していることが判明した。これらは全て9+0 構造の線毛であり、気管等に存在する9+2構造の線毛では存在が認められなかった。この結果はinv蛋白質が9 +0構造を有した線毛内に特異的に存在することにより左右軸の決定に関与していることを示唆する結果とな った。Invのアンキリン配列とGFPの融合蛋白質をinv ホモ変異マウスに発現させたところ、同様に左右軸の逆転がrescue されたが、生後1ヶ月においてpolycystic kidneyの形成が認められた。このマウスでは融合蛋白質が腎臓、尿細管のciliaで認められず、Inv蛋白質のcili aにおける存在が正常な腎臓の発生に必要であること、左右軸の決定にはinvのアンキリン領域のみで機能で きることが示唆された。


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