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FGF receptor-like1/nou- darakeのアフリカツメガエルオーソログのクローニングと機能解析


林 周一1  伊藤 万里1,2  阿形 清和3  平良 眞規1,2

東大・院理・生物科学1,科技団・CREST2,神戸理研3


脊椎動物の発生過程においてFGFは中胚葉誘導、神経形成、パターニング、後方化などの発生 機構を解明する上で重要な分泌性因子である。プラナリアの頭部に発現する遺伝子nou-darake (ndk)は脳組織を頭部に制限するのに重要な役割を果たしていること、異所的脳の形成にはFGFレセプタ ーが関与すること、アフリカツメガエルの系を用いてNDKがFGFシグナル伝達に対して阻害的に機能すること が示唆されている(Cebria et al., Nature 419:620, 2002)。ヒトにおいてもndkと同様の構造をもつ遺伝子FGFRL1が存在することから、脊椎動物の 頭部形成にも重要な役割をはたしている可能性が考えられるため、ndkのアフリカツメガエル・オーソロ グXndkをクローニングし、発現パターンの解析と機能解析を行った。XndkはヒトFGFRL1と同様に細胞 外にシグナルペプチドと3つのIgGドメインをもつ一回膜貫通型蛋白質で、アミノ酸配列の一致率は全体で66% であった。全胚in situハイブリダイゼーションによるXndkの発現解析で初期神経胚の前方の頭部領域に限局した強い発 現が検出された。これはプラナリアにおけるndkの発現との類似性が示された点で興味深い。切片観察 ではその発現は中胚葉および内胚葉に認められた。尾芽胚ではXndkは中脳後脳境界、体節、内臓嚢で 発現するなどのFGF8の発現パターンとの類似性が認められ、両者の機能的相互作用が予想された。 機能解析としてXndkを背側帯域に過剰発現させると、ndkの場合と同様に、中胚葉マーカーであ るXbraの発現が下がり、原腸陥入阻害を生じたことより、XndkとNDKの機能の類似性が示唆された。現 在、アンチセンス・モルフォリーノ・オリゴによる内在性Xndkの機能損失実験を行い、発生における役割 を検討している。


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