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イモリにおける核内遺伝子配置を可視化する方法の開発


牧 信安1  黒岩 麻里2  梅原 千鶴子2  松田 洋一2  阿形 清和1

理研CDB・進化再生1,北大・先端研・染色体2


イモリは脊椎動物の中で極めて高い再生能力をもっている。イモリでは、再生過程において分化 した細胞の核がリプログラム化されて幹細胞化できることが高い再生能力の原因であるとわれわれは考えて いる。
そこで、イモリの再生過程において核のリプログラム化、すなわち、核内構造の再構成が起きているのかどう かを調べるために、本研究では、まず核内の遺伝子配置を三次元的に可視化する方法の開発を行った。特に イモリの核はヒトと比べても約10倍ほど大きく、この点が核内遺伝子配置を解析するにあたり利点として働くこ とが期待された。
具体的な研究内容は以下の通りである。各遺伝子配置を検出するために、1)ゲノムライブラリーを作成して、 βヘモグロビン遺伝子検出用プローブを獲得し、2)各組織切片の核に対して全体的な三次元構造を保ったま まFISHを行う技術を開発し、そして3)βヘモグロビン遺伝子を発現している赤血球と発現していない神経組織 でのβヘモグロビン遺伝子の核内配置を比較した。
その結果、赤血球ではβヘモグロビン遺伝子は核の中心領域に位置するのに対して神経組織では核の外縁 に接する領域に位置しており、βヘモグロビン遺伝子の発現している細胞と発現していない細胞との間に遺 伝子配置の明確な差違があることが示された。今後はクロモゾームテリトリーや転写ドメインなどの核内ドメイ ンに対する各種マーカー遺伝子の配置を構造的に解析し、細胞分化と核内遺伝子配置の連関および再生過 程における核のリプログラム化を明確に示したい。


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