○白井 美恵 國枝 武和 石野 智子 久保 健雄
東大院・理・生物科学
アフリカツメガエル幼生の尾は強い再生能力を持つ。当研究室では、器官再生に固有な分子機構 の解明を目的に、正常尾に比較し尾の再生尾において発現増強している遺伝子をDifferential Display 法を用いて検索、同定してきた。今回我々は、そのうち脳や神経に恒常的に発現する哺乳類Neuronal Pentraxin1(NP1)と高い相同性を示す遺伝子、Xenopus NP1(xNP1)に着目し、その発現解析を行ったので報告する。 まず、再生尾におけるxNP1転写産物の局在を尾切断直後の尾及び切断後7日目に形成された再生尾 を用いたwhole-mount in situ hybridization法により解析した。その結果、xNP1のシグナルは、未分化細胞からなる最先端領域を除く 再生尾の広い領域で検出され、切断部から再生尾先端に向けて強くなる濃度勾配を示した。さらに切片を作成 して解析した結果、xNP1のシグナルは、極先端部を除く再生尾の表皮細胞で認められた。このことは、 哺乳類NP1の発現が神経に限局しているという報告と相違しており、通常状態と再生時におけるxN P1の機能の違いを反映している可能性がある。また、xNP1の発現が再生尾選択的に発現すること から、再生に固有なxNP1の転写制御機構が存在する可能性がある。そこで、xNP1 の上流制御機構を解析するために、xNP1のゲノムクローンを単離し上流4.6kbp の配列を決定した。現在、GFPを用いたレポーターアッセイによるシスエレメントの決定を試みている。
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