○吉信 公美子1 荒木 喜美2 能勢 眞人3 山村 研一2 荒木 正健1
熊本大・遺伝子実験施設1,熊本大・発生医学研究センター2,愛媛大・ 医3
マウスES細胞を用いた遺伝子トラップ法は、発生・分化に関与する未知遺伝子の単離と、挿入変
異による遺伝子の機能解析に有効な手段である。可変型遺伝子トラップベクターpU-
Hachiを用いて樹立されたAyu8008ラインについて報告する。
レポーター遺伝子であるβ-
geoは、E8.5とE9.5では卵黄嚢・体節・心臓・尾芽に、E13.5とE15.5では 脳・心臓・筋に
発現していた。成体では主に脳・心臓・肺・腎臓・精巣・皮膚に発現していた。
トラップされた遺伝子は、新規遺伝子であり、いくつかのEST配列と相同性を示していた。RT-
PCRにより、alternative
splicingによって生じたと考えられる2種類のtranscript(Ayu8008α,β)を検出した。5'RACE及びcDNA
libraryで得られたAyu8008α cDNA は、834アミノ酸残基から成るタンパクをコードしており、zinc-finger
motifが存在していることが分かった。また、トラップベクターは、Ayu8008α,βの開始コドン上流のイントロン
に挿入されていた。
phenotypeの解析では、heterozygoteは正常だが、homozygoteは解析した世代により異なるphenotypeを示した
。homozygote(F1×F1)は、顕著な異常は見られなかった。しかし、homozygote(F3×F3)は成長障害を示し、さ
らにhomozygote(F8×F8)では、生後1.5日目までに致死となった。現在致死の原因を解析中である。
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