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転写因子Pax3と結合するコアクチベーターTAZの発生における機能


牧田 亨介1,2  村上 政男1  冨永 純司1,2  栗原 裕基1,2

熊大・発生医学研究センター1,東大・院医・代謝生理2


Pax3はpaird domainとhomeoboxを持つ転写制御因子群Paxファミリーに属し、神経管、神経堤、骨格筋などの発生に重要な 役割を持つ。我々はこれらの組織でPax3と協調的に働く因子を探す目的で、酵母Two hybrid法によりPax3に結合する分子をスクリーニングした結果、TAZタンパクを同定した。TAZは14-3-3 proteinをはじめとする、PDZ domainを持つ転写因子と結合しその活性を制御するコアクチベーターであることがわかっており、Pax3と結合 することでPax3の転写機能を調節しているのではないかと考えられる。
in vitroアッセイの結果、Pax3-TAZの結合には、Pax3 C末端側のPPXYモチーフ及びTAZ N末端側のWW domainが深く関わっていることが示された。ただしそれ以外の領域も結合活性を示すことから、Pax3- TAZの結合には上記ドメインのみでなくでより広い領域の関与する機構が存在すると考えられる。また、TAZと の結合によってPax3の転写活性化能が有意に上昇することが明らかとなった。
TAZの発現をin situ hybridizationで調べると、胎生10.5日マウス胚において神経管内側、鰓丘の外胚葉性間葉、体節で発現が見ら れた。そのうち神経管背側部での発現がPax3と重複していたが、鰓丘及び体節では両者の発現に重複は見ら れなかった。このことから、TAZの結合によるPax3の転写活性化能の上昇が、胎生期の神経管形成におけるP ax3の機能発現に重要である可能性、神経管以外の箇所ではTAZはPax3以外の転写因子と相互作用して形 態形成に関わっている可能性が考えられる。


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