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フタホシコオロギにおけるvasa遺伝子の解析


廣瀬 歩美  寺沢 太樹  張 紅杰  新明 洋平  宮脇 克行  更科 功  三戸 太郎  大内 叔代  野地 澄晴

徳島大・工・生物工


我々はフタホシコオロギ(短胚類、不完全変態類)の発生メカニズムに着目し、ショウジョウバエ( 長胚類、完全変態類)との比較研究を行っている。コオロギの遺伝子機能を解明するためには遺伝子操作の 技術が必要である。そのために現在、我々はトランスジェニックコオロギを作製するための方法の確立を目指 している。
外来遺伝子を生殖細胞に効果的に取り込ませるためには、生殖細胞の卵内での位置を知る必要がある。 そこで、生殖細胞のマーカーとしてvasa 遺伝子に着目した。VasaはDEADbox型ATP依存性のRNAhelicaseであり、様々な動物種で単離され、いずれ の場合も生殖細胞を追跡するための優れた分子指標になることが示されている。PCRによるクローニングの 結果、vasaホモログが1種類得られた。幼虫卵巣由来mRNAからcDNAを合成し、縮重primerを用いてP CRした結果、378bpの断片が得られた。さらに3’RACEにより、約1.3kbpの断片が得られた。得られたアミノ酸 配列の相同性はショウジョウバエ:63%、バッタ:78%であった。その後、in situ hybridization法を用いて発現解析を行った。その結果、初期胚のposteriorにvasaの強い発現が見られ た。現在、受精卵や未受精卵などの胚帯形成以前のより早いステージにおけるvasaの発現パターンの 解析を行い、生殖細胞の卵内での位置を決定している。


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