○小林 千余子1 Francesc Cebria1 中澤 真澄2 峯田 克彦2 池尾 一穂2 五條堀 孝2 阿形 清和1
理研CDB 進化再生グループ1,国立遺伝学研究所 生命情報2
我々はプラナリアの脳についての理解を深めるために、DNA chipとESTプロジェクトを組み合わせたプラナリアの脳特異的遺伝子の単離を行なってきた。その中でDNA chipの解析から頭部での発現が最も高かったクローン(721HH)に関して、発現解析およびRNAi法を用いての機能解析を行なった。 721HH遺伝子はプラナリアの脳および頭部間充織で特異的に発現し、再生過程においては切断後1日目からすでに再生体前端でその発現が観察された。脳再生における721HH遺伝子の機能を知るために、721HH-dsRNAを注入した個体を切断し再生させたところ、再生7日目以降、異所的な眼が体幹部に形成された。それらの個体の脳及び腹側神経を数種の神経特異的マーカーを用いて観察したところ、脳が異所的に体幹部に形成されていることが分かった。しかし咽頭、およびその他の領域特異的マーカーを用いた観察から、頭部全体が拡大したのではないことが明かとなった。我々はプラナリアの体が脳だらけになったこの現象から、721HH遺伝子をnou-darake遺伝子と名付けた。また721HH-dsRNAを注入後、再生させずにおいた個体についても、体幹部に異所的な脳が観察されたことから、nou-darake遺伝子は脳を恒常的に頭部に限局する働きがあることが推察された。 シークエンス解析の結果、nou-darake遺伝子はFGFレセプターファミリーと相同性のある2つのIGドメインをもつ膜貫通型タンパク質をコードしていた。しかしながら細胞内ドメインにはキナーゼドメインは存在していない。現在、プラナリアで単離されいる二つのFGFレセプター遺伝子との関わりについて解析しており、その結果を合わせて、プラナリアの脳形成とその維持システムについて考察する。
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