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アフリカツメガエル色素細胞の発生に関与する遺伝子の発現解析


熊坂 真由子1, 佐藤 滋2, 矢嶋 伊知朗1, 吉田 恭子1, 山本 博章1

東北大学大学院 理学研究科生物学専攻 発生生物学講座1, 自治医科大学 2



Mitf(microphthalmia associated transcription factor、小眼球症遺伝子)は、発生系譜の異なる色素細胞である、神経冠細胞由来のメラノサイト、間脳由来の網膜色素上皮細胞(retinal pigment epithelium、RPE)の発生に不可欠な遺伝子である。Mitfはbasic helix-loop-helix-leucine zipper (bHLH-LZ)ドメインを持つ転写調節因子をコードし、メラニン合成に関与する酵素をコードする、tyrosinase、TRP-1、TRP-2の転写を活性化する。マウスやヒトでは、N末側の配列の異なる、複数のアイソフォームの存在が知られている。メラノサイトで特異的に発現するMit f-M、RPEで強く発現するMitf-A、そして心臓で発現しているMitf-Hがその主なものであり、細胞系譜特異的なアイソフォームの機能発現は興味深い。これまでに、マウスや培養細胞を用いた研究から、メラニン産生細胞の発生機構に関わる多くの因子が明らかなってきたが、変温脊 椎動物に存在する、それ以外の色素細胞(プテリジン、カロテノイドを含むザンソフォア、プリン結晶を含むイリドフォアなど)の発生機構については、不明な点が多い。我々は、このような色素細胞の違いを生み出す発生機構を解析するために、端緒として、アフリカツメガエル のメラノフォアの発生機構を解析した。今回は、アフリカツメガエルのMitf、TRP-2のクローニングと、その発現解析について報告する。


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