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鰾(うきぶくろ)は外胚葉起源ではなかろうか


小林 貞夫

国保群岡診療所 内科


人の食道・胃粘膜接合部 以下EGjは外胚葉、内胚葉の境界であろう事を確かめる為、検討してきている。今回はニジマスを主に対象にした。 EGjは魚においても外胚葉、内胚葉の境界であろう事が成立しなければならない。咽頭と食道上皮はどちらも重層扁平上皮で、組織学的に両者を区別出来ない。鰾は肺と相同器官である。魚の食道は鰾気管の出た所から、胃迄を食道と考える。ニジマスにおいても胃は胃腺の有る所 からであり、ここがEGjである。鰾、鰾気管が外胚葉性であろう事を示したい。ニジマスのふ化24日の稚魚の食道は殆ど認められない。鰾気管は位置的にEGjのそばから出ると言ってよい。鰾気管は二本ある。ニジマスの成魚の鰾気管は肉眼的に一本で、明らかにEGjから離れて 、咽頭の方に位置している。ニジマスの成魚の食道は短いながら有る。組織像で鰾、鰾気管と胃との差を示す。鰾の上皮は略1層の扁平から立方状、円柱状の上皮からなる。成魚では中に繊毛上皮も散在している。胃においては鰾に比べ円柱上皮は内腔に面して表面はきれいになら んでおり、繊毛上皮は見られない。HID-AB染色で、鰾上皮は薄黒く内腔に面して一様に染まっている。胃は染まらないか、青く染まる程度である。鰾のこの所見は胃と際立って異なる。咽頭は外胚葉性と考えて来てるが、咽頭においては上皮はHID-AB染色で青く染まる上皮から、薄 黒く染まる上皮まで混在している。鰾はその薄黒く染まる粘液を有する咽頭上皮の性質をもって分化したと推測する。分化という考えを加えないと鰾、肺の組織像は整理出来ない。サケの成魚で上に検討した点をみると、同じ結果であった。標本作製は江東微研病理、ニジマスは他 施設よりの提供であります。


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