○内山 英穂1, 小林 照明1, 山下 暁夫2, 矢部 茂治1
横浜市立大 理 環境1, 横浜市立大 医 第二生化2
我々は中胚葉誘導および、中胚葉の分化機構についてアフリカツメガエルを使って研究している。中胚葉誘導がおこると様々な遺伝子発現が観察されるが、そうした中にT-box遺伝子群がある。中でもT(Brachyury)遺伝子は脊索分化に必須のものとしてよく知られている。
Tbx6遺伝子はTbx遺伝子群の中の1つであり、マウス・ニワトリ・ゼブラフィッシュなどから単離されている。マウスのTbx6遺伝子をノックアウトすると体節が神経管様構造へと変換されたことから、Tbx6は体節分化に必須の遺伝子であると考えられている。
我々はア フリカツメガエル原腸胚cDNAからTbx6のT-box部分のPCR断片を得て、そこからRACE法により全長cDNAを単離した。次いてcDNAライブラリーからも当該遺伝子を単離した。この遺伝子の発現は原腸胚期に始まり、原腸胚から神経胚のころピークを迎え、以後減少した。発現部位は体節
および側板中胚葉であり、神経胚のころ胴体部に広く発現した後は、尾芽の先端部へと発現域が限定された。こうしたパターンは他の動物におけるものと同様であった。一方この遺伝子の合成mRNAを胚のアニマルキャップで発現させると、体腔上皮様構造および間充織の分化が観察
された。次にT-boxの後に続く転写調節領域と思われる部分をVP16や、EnRと組替えてアクチベーター、あるいはリプレッサーとしてアニマルキャップで発現させた。その結果、Tbx6がアクチベーターであることが確認された。
これらの結果は、Tbx6は体節以外にも、より
腹側にあたる側板中胚葉分化に関与しうることを示している。
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