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Xenopus type I collagen alpha 1 (COL1A1)の同定と初期胚での発現パターンの解析


後藤 利保1, 堅田 智久2, 木下 勉2, 久保田 洋1

京都大学・院・理・動物1, 関西学院大学・理・生命科学2


 collagenは動物の全蛋白質中で量的に最も多い蛋白質であり、細胞外基質の主要な成分である。また、type I collagenはcollagen全体の9割を占める。しかし、現在までに初期発生でのtype I collagenの発現等の解析は進んでいなかった。そこで我々は、アフリカツメガエルのtype I collagen alpha 1 (COL1A1)のcDNAのクローニングと初期胚での発現パターンの解析を行った。 既知のCOL1A1のアミノ酸配列より縮重プライマーを作成し、RT-PCRにより、スクリーニング用のプローブを得た。卵巣のcDNAライブラリーから1447アミノ酸残基をコードする全長約5.7kbpのcDNAが 得られた。G-X-Pの繰り返し配列を含むアミノ酸配列は他の脊椎動物のCOL1A1と高い相同性が確認された。Xenopus COL1A1の転写産物は尾芽胚期では主に尾部から胴体部の背側表皮の内層に強く発現し、背側表皮の外層や真皮節にも発現していることが分かった。また、頭部領域では背側だけでなく腹側の表皮内層にも発現していた。 Xenopus COL1A1の発現量は神経胚後期以後に胚の後方領域から増大していくことが分かった。さらに、レチノイン酸処理による後方化胚での発現量は増加し、リチウム処理による背方化胚では減少することが明らかになった。これらの結果はXenopus COL1A1の発現パターンが頭部側からの体節化とは独立しているものであることを示唆する。


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