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Oct-3/4によるES細胞の未分化状態維持機構の解析


丹羽 仁史, 宮崎 純一

阪大・院医・分子防御医学


POUファミリーに属する転写因子Oct-3/4は、その一定量の発現が胚幹細胞(embryonic stem cells:ES細胞)の未分化状態維持に必要であり、その発現量の増加は原始内胚葉および中胚葉への、減少は栄養外胚葉への分化を誘導する。このようなOct-3/4による未分化状態維持機構を解明するためには、それによる下流遺伝子の転写調節機構の理解が必須である。そこで、我 々は2つの下流遺伝子Rex1とCdx2に注目し、これらの遺伝子の発現が、どのようにOct-3/4によって調節されているのか、解析を試みた。これらの遺伝子のプロモ−タ−活性にOct-3/4、E1a、Sox2等が及ぼす効果を、ルシフェラーゼアッセイにより検討したところ、(1)Rex1プロ モーターの活性は、Fgf4 enhancerや052 retrotransposon enhancer/promoter等の他のOct-3/4の標的に較べて、過剰量のOct-3/4による抑制効果を受けやすいこと、(2)Cdx2プロモーターはCdx2によって自己活性化され、それはOct-3/4によって抑制されること、をこれまでに確認した。Rex1については、現在そのプロモ−タ−活性に対す る分化抑制サイトカインLIFの効果を検討中である。また、Cdx2は、昨年の本大会で報告したように、その強制発現がES細胞の栄養外胚葉への分化を部分的に誘導し得ることから、Oct-3/4の発現減少による栄養外胚葉への分化誘導の少なくとも一部は、Cdx2の自己活性化を介してい ると考えられる。


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