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セグメント内ボディープランの遺伝解析


岡部 正隆1, 広海 健1,2

国立遺伝学研究所 発生遺伝研究部門1, 総合研究大学院大学 遺伝学専攻2


動物のボディープランを決定する分子メカニズムの研究が発展し、これまでに前後軸、背腹軸、左右軸といった体軸の形成機構の解明や、各セグメントの個性を決定する分子の同定などが相次いで行われた。しかしながら、セグメント内のボディープランの研究は、適当なマーカー となり得る細胞や組織が少ないためにあまり進んでいない。我々は、セグメント内のパターン形成の研究が発展しているショウジョウバエを用いて、同一セグメント内に存在する3種類の器官の個性獲得メカニズムを明らかにし、各セグメント内のボディープランを理解することを 目標としている。
ショウジョウバエ胚の末梢神経系の感覚器には、代表的な3種類の感覚器である機械刺激受容器、化学刺激受容器と伸展受容器があり、各セグメントに複数づつ存在する。homeobox型転写因子をコードするcut遺伝子は機械刺激受容器前駆細胞と化学 刺激受容器前駆細胞に特異的に発現しており、その機能欠失変異体では、これらの前駆細胞が伸展受容器前駆細胞に、また異所性発現では伸展受容器前駆細胞が機械刺激受容器前駆細胞に形質転換することが報告されている。従ってcut遺伝子は機械刺激受容器および化学刺 激受容器の個性獲得に必要十分な活性を持つ。また、Paired型転写因子をコードするpox-neuro(pox-n)遺伝子は化学刺激受容器前駆細胞に特異的に発現しており、機能欠失変異体では化学刺激受容器が機械刺激受容器に形質転換し、異所性発現により、化学刺激受容 器を異所性に形成させる。このことはpox-n遺伝子が化学刺激受容器の個性獲得に必要十分であることを示す。
現在、これら2つの遺伝子がセグメント内のどのような位置情報によって特定の位置に発現するように調節されているのかを解析しており、本大会ではcu t遺伝子の解析を中心に報告する。


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