発生生物学会市民公開講座
日時:6月1日(木)午後3時
場所:広島国際会議場 ダリア2ホール
幹細胞を用いた再生医療の現状と展望
慶應義塾大学医学部生理学教室・岡野 栄之
これまで治らなかった難病(不治の病)を治すためには、人類の英知を集約させ、科学として医学の発展を図る以外に有効な手段は存在し得ないと考えます。病気や怪我などで傷ついたり、失われた人体の様々な細胞・組織を元通りに修復する医療の開発を目指し、生物学の古典的な研究テーマである「再生」が、大きくクローズアップされてきています。「再生」とは生体の失われた細胞・組織が、幹細胞の増殖・分化や分化した細胞の分化転換によって補われることと定義されています。今、哺乳動物を対象とし、発生過程を一部再現させることにより臓器再生を目指そうという新しい学問潮流が生まれつつあり、まさにこれに立脚した治療哲学である「再生医学」(その実践が「再生医療」)が21世紀の医学の進むべき一つの方向であると期待されています。再生を誘導するためには、色々な臓器を作るもとになる細胞である「幹細胞」が重要です。幹細胞には、各々の臓器に固有の臓器幹細胞(造血幹細胞、神経幹細胞など)の他に、初期胚由来の多能性幹細胞であるES細胞(胚性幹細胞)が含まれます。現在、これらの幹細胞を用いた再生医療に熱い注目が集められています。本講演では、幹細胞を用いた再生医療の現状と展望について述べてみたいと考えています。
参考文献
岡野栄之: 脊髄損傷治療への道 日経サイエンス(特集:人体をつくる再生医療の挑戦) 06: 30-33 (2003)
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