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学会見聞録
ヨーロッパ発生生物学会 (1999/6/19-23)
ヨーロッパ発生生物学会参加レポート
1999.8.22
東北大・院医 若松義雄
今年の6月19-23日にかけてノルウェーはオスロで開催されたヨーロッパ発生生物学会に行って来ました。やっぱり学会でもないとなかなかノルウェーなんて行かないだろうから良い機会だということだったんですが、動機はちょっと不純でした。
オスロの空港はとても綺麗ですばらしかったんですが、入国審査の際にはゲートに人が殺到し、全然列とか作らないんです。なんかおかしいなと思ったら、案の 定学会のオーガナイズはかなり適当で、会場へ行ってもどこがポスター会場でどこが口演の会場かよくわからないし、昼食は3つのグレードからあらかじめ選ん で予約しておくんですが、グレードごとに座る席が決められていて自由に座れない。じゃあそんなにいい食事が出たかと言えば全然で、僕は中ぐらいのグレード のを選んだんですが、けっこう高いのに単なるサンドイッチで、ドリンクは別売。ノルウェー人の知り合いとたまたま会って話を聞いてみると、この国の人たち はかなりいい加減(よくいえばおっとりしている)なんだそうです。なにしろオスロ自体が一国の首都とは思えない程小さい町で、やっぱり田舎だからなんで しょうね。
そうはいってもさすがは国際学会、著名な研究者が大勢来ていました。しかし、シンポジウムのス ピーカーの多くがアメリカ人で、ヨーロッパの学会に来た気があまりしませんでした。ただ、発表を聞いていると、Up to date な研究内容を発表しているのはアメリカ人が多く、ヨーロッパのシンポジストの中には"なんで今頃こんなことしてんの?"と思うような前時代的な内容を喋っ ている人もちらほら。昨今の発生生物学におけるアメリカの優位性みたいなものを反映しているのでしょうか。。。。
発表の内容では、やはり最近Cellにも発表された、Drosophilaのwing diskにおけるcytonemeに関するKornberg博士の発表が興味深く、また大きな拍手を受けていました。cytonemeは脊椎動物細胞の神 経管のにもあるそうですし、これから流行ること間違いなしですね。それ以外には、かなり多くのグループからレチノイン酸に関する発表がされました。 sonic hedgehogの発見で肢芽の前後軸決定のモルフォゲン候補から引きずり降ろされて以来、いまひとつ発生の分野でぱっとしなかったレチノイン酸でした が、体節と中枢神経系との相互作用への関与など、少し違った形での復権になりそうです。
自分はポスター発表だったんですが、海外の学会にしてはポスターセッションもけっこうな盛り上がりを見せ、そこかしこで熱っぽいディスカッションが行われていました。
おそらくわざとなんでしょうが、学会の日程は夏至にかかっており、高緯度地方のオスロでは夜の12時頃になってやっと夕暮れ時でした。そのあとも真っ暗に なることは全然なくて、慣れないとやっぱり調子が狂います。しかし夕暮れ時のオスロの港のかがやくような美しさは一見の価値ありでした。ノルウェーの長い 冬を知らないせいでしょうか、美術館で見たムンクの"叫び"の暗い印象と僕のノルウェー体験の間には接点が見出せないまま、この国を後にしました。
1999/6/19-23 ヨーロッパ発生生物学会
掲載: 1999.8.22