2008年1月運営委員会報告

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2008年1月運営委員会報告

2008年1月運営委員会報告

1月26日に運営委員会が開催されましたのでご報告致します。

<事務局体制の強化>

 本年1月より幹事長が上野直人会員(基生研)より武田洋幸会員(東京大学)に交代し、これにともなって 幹事長補佐も東島真一会員(岡崎統合バイオ)から越田澄人会員(東京大学)に交代しました。また学会運営業務の増大とこれを全面的に担って頂くため、桃津恵子事務局員をフルタイムで雇用することとしました。更に、欧米の発生生物学会およびAsian Pacific Developmental Biology Network 翼下の各国発生生物学研究者との連携強化にともなう運営業務、ホームページ、年会登録の英語版作成のためなどに、ダグラス シップ会員(理研CDB)を事務局国際広報担当としてお願いすることになりました。

<法人化>

 発生生物学会はこれまで年会にかかわる会計を年会会長の管理の下におき、一般会計とは別会計として処理してきましたが、本年より学会事務局による管理に一元化し、一般会計に組み込んで処理します。また、赤川京子公認会計士に当学会の監査をお願いすることとなりました。本年には日本発生生物学会を任意団体として神戸税務署に登録することとし、桃津恵子事務局員のフルタイム雇用と併せ、将来の法人化にも対応出来る体制の確立を進めます。

<DGD>

既にご報告しました様に、本年よりBlackwell とは3年の新たな契約に入りました。この3年の間に仲村編集長を中心に、DGD の将来像を構想して頂くことになります。

<学会運営>

仲村編集長の多大なご努力により、毎年の入札など条件的に難しい科研費からの支援がなくとも、学会からの持ち出しなしにDGD が刊行出来ることになり、健全な学会会計の基盤が確立しました。他方、事務局体制の強化と以下に述べます新たな活動、ホームページのリニューアル、会員名簿の更新などの出費があり、これを一般会計で賄おうとすると200万程度の赤字が予想されます。なるべく節約して本年度に特有なことは特別会計で処理させて頂きたいと考えます。会員名簿は電子化の意見もありましたが、本年もハードコピーを作成する予定です。学生会員の会費が本年より8千円から3千円となりますが、身の回りの学生諸君に周知頂けますよう重ねてお願いします。会員数は一昨年は微減しましたが、昨年は微増で1,387名横ばい状態です。

<我が国での年会>

ご承知のごとく本年の年会は野地澄晴会員を大会長として徳島で(ISDB との合同年会)、来年2009年は濱口哲会員を大会長として新潟で開催しますが、2010年は上村匡会員(京都大学)に大会長をお願いすることになりました。本年の徳島大会より(実質的には昨年から)年会での発表は全面的に英語化することとなりますが、大会の前日に日本語による若手ワークショップが企画されています。欧米からの講演者無しに年会を開くことがあり得ない時代になっていることが英語化の根拠の一つですが、全面英語化する以上、外国からより多くの、とりわけアジア、オセアニア地区からの参加者を得る努力が求められます。徳島大会では英文のポスターを作製し、アジア/オセアニア地区にも配布しましたが、アジア/オセアニア地区の研究者との合同で年会を開催することも検討課題と考えております。

 細胞生物学会とは5年に一度合同年会を開催することにしておりますが、大会後のアンケートでは「毎年合同開催から5年に一度を希望」まで学会員の希望は分かれています(3年に一度がやや多い)。一方10年目の反省(HPに掲載)で、昨年細胞生物学会との合同年会をオーガナイズされた山村研一会員(熊本大学)より、細胞生物学会との学会合同も視野に年会を毎年細胞生物学会と合同開催すること、かつ年会企画に学会本部が全面的に関わり、より組織化された年会企画とするようにとの提案があります。確かに700名くらいの規模での大会開催には難しいところがあります。しかし現在、細胞生物学会との合同を展望する意見の集約は発生生物学会にないように思います。これまでは、どのような年会とするかは年会をお願いした年会長に全面的にお任せし、本部に助力を求められれば支援することとして、それぞれの年会は開催地の特色を出して頂くという考え方をとって参りました。お引き受け頂いた方が細胞生物学会との合同年会を希望されるなら5年経たずとも、また、本部の全面的企画関与を希望されるならそういう形で年会を開催して頂けます。これまでの方針を踏襲しつつ、各年会長の年会企画の流れの中から山村会員提起の課題へ糸口を見いだしたいと考えます。発生学が今後細胞生物学とますます緊密さを深めることは疑いのないところです。

<欧米での合同年会>

既にご連絡しました通り、本年9月13-17日フランス発生生物学会を本学会との合同年会としてGiens で開催します。我が国からkeynote lecture に2名、symposium speaker に8名が参加しますが、一般発表にも多くの方がご参加頂き、交流を深めて頂けますようお願いします。質の高い我が国の研究が欧米のコミュニテイに入って認められるようにとの主旨によるものです。来年2009年は国際発生生物学会がエジンバラでありますが、2010年はアメリカの年会を合同で、また、 2011年はドイツの年会を合同で開催する予定です。それぞれ近藤寿人会員(大阪大学)、阿形清和会員(京都大学)に日本側責任者をお願いすることになりました。

<秋季シンポジウム>

昨年開催した秋季シンポジウムについては、学会主催でのその開催の仕方について掲示板で幾つかのご意見を頂きました。発表者を選び、発表無しでの一般参加を認めなかったことが、学会の主催する会として妥当であるかどうかという問題提起であると理解します。本シンポジウムは春の年会とは性格を異にして、これからを担う方々を育成する一助としたい、そのことが翻って学会の将来に全体的利益となるとの考えによります。単に研究成果を知る、あるいは競う発表が重要なのではなく、刺激ある非会員を含めた参加者間での緊張ある相互交流こそが本シンポジウムの意義であると考えます。一般参加を自由にして参加者数が増え、聞きたい発表を聞いたら帰るというのでは主旨に叶いません。相互交流のためには自ずと参加者数を絞りたく、また、基本的に参加者は発表するとともに全日参加としたいと考えます。また、選ばれる人の公平性については、1回1回はオーガナイザーの恣意性が多少は出ること避けられず、むしろそれを特色として、オーガナイザーが毎回代わることによって、全体としては妥当性が保たれるというのが適当と考えます。寄せられたご意見に留意しつつ、会長責任においてこのような形で本年も秋季シンポジウムを開催させて頂くことにご理解を頂きたいと考えます。但し、本年は対象者を、PI あるいはPIになろうとしている人ばかりでなく、自ら研究を進めている若い研究者にまで拡げることにしたいと思います。また、昨年発表された方は少なくとも同じ話題での発表は辞退して頂くことになります。一定数のクリテイカルな討論参加者は重要で、シニアーな研究者とともに、昨年の発表者の中から選ぶことになると思います。討論参加を含め会員は基本的に手弁当での参加を大原則とさせて頂き、非会員のinvited speaker にのみ旅費・宿泊費を学会より負担させて頂きます。その他のシンポジウム開催経費を含め、学会が秋のシンポジウムにさく経費は20-30万円程度と予想されます。本年は相賀裕美子会員(遺伝研)にシンポジウムのオーガナイズをお願いすることになりました。

<学会長による2つの試行企画>

一度試行して、その結果によって継続を考える企画として若手サマースクールと高校教員研修会を本年企画することとしました。サマースクールは秋のシンポジウムよりは一段若い、PI の指導のもと現在研究を進めている大学院生、若手ポスドクを対象とするもので、藤森俊彦会員(京都大学)、福田公子会員(首都大学)のオーガナイズのもと、8月26-28日乗鞍観光センターで開催します。10年後を担う方々の、しかしともすれば今日希薄な横のつながりを、緊張した条件の下で、活性化したいというのが本会の主旨で、秋のシンポジウムに準じた方式で開催することになります。会場費、非会員invited speaker の旅費・宿泊費に30-50万程度の経費を要すると予想されます。

高校教員研修会は、年会の際開く市民講座同様、学会の社会への関わりを模索する活動として試みるものです。高校教育の抱える困難に対して、発生生物学会のなし得ることは微々たることで、本来は動物学会などと連携して生物科学学学会連合あるいは学術会議のレベルで取り組まなければまともに立ち向かえる課題ではありません。しかし高校の先生が紙の上の知識で教科書を教えるのでなく、学生に活き活きと生き物を語れるかどうかは日本の生物学の将来に大きな意味を持ちます。とりわけ団塊世代の経験ある教員が現場を去り、molecular などに特化した世代が今後を占める高校教育界の危機は大きいものがあります。危機の大きさの前に出来ることは焼け石に水かもしれませんが、そのような努力を発生分野で先陣を切って試みたいと考えます。試行として八杉貞雄会員(帝京大学)にオーガナイズをお願いし、関西地区の高校教育界の助言を得、また、関西地区の研究組織との共催として運営には全面支援を受け、研修会を開催する予定です。

<その他>

高校生物教育の他、学会の内部ではとても克服出来ない課題が沢山あります。科研費のあり方、あるいは発生研究にとっても死活な各大学臨海実験所の疲弊等々等々です。これらは、生物科学学会学会連合などの場で課題として頂かねばなりません。同連合の発生生物学会連絡員は武田洋幸会員が担当してきましたが、同会員の幹事長就任に伴い漆原秀子会員(筑波大学)にその任をお願いすることになりました。発生生物学会としては漆原会員の活動を全面的に支えたいと考えます。また、英語版の作成を含め学会ホームページを全面的にリニューアルすべき時となっており、上野直人前幹事長にその全体企画をお願いすることになりました。

最後に学会長をお引き受けしこの1年痛感する、方途を見いだすことが困難な1課題について私見を述べさせて頂きます。それは、全国の大学学部における発生生物学教育の空洞化と各大学理学部の疲弊です。理学部にいながら学生が発生の授業を受けることの無い大学はどれくらいでしょうか。現在ある全ての大学が生き延びる様になど主張する気は毛頭ありませんが、全国の大学で然るべき発生学教育と研究がそれぞれに特色を持って確かにあることを失ってどうなるのでしょうか。中央の大学だけが生き残ることなどあり得ません。重点化の名の下にある裾野を失う後進国化の流れに対して、学会として抗する努力は無いものでしょうか。

以上1月の運営委員会についてご報告させて頂きました。5月の徳島の総会でご了承を得ることになりますが、10年目の反省(ホームページに掲載)と併せて、掲示板で御意見をお寄せ頂ければ幸いです。