2009年7月 会長メッセージ(年会の持ち方について)

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2009年7月 会長メッセージ(年会の持ち方について)

2009年7月 会長メッセージ(年会の持ち方について)

総会でご案内しましたように 1月10日に全国から、7月4日運営委員を中心にお集りいただき、年会の持ち方などについて懇談会を開催しました。これらの会での議論を踏まえ会長として年会のもち方について述べさせて頂きます。

 大会の企画は大会長と大会長が組織する大会準備委員会に委ねるというのが今後とも大原則であることはいう迄もありません。このもとで、発生学及びこれを取り巻く分野の推移とともに、会員の分野層に変化のあることを一度考えるべき時期にあります。昨年の分子生物学会の発生分野で発表された演題についてみると、筆頭発表者426名のうち発生生物学会会員である方は83名、元会員14名、非会員329名でした(最終発表者では276名中103名が会員、14名が元会員,159名が非会員)。他方動物学会では筆頭発表者では87名中それぞれ41名、4名,42名、最終発表者では67名中それぞれ50名、4名,13名でした。また、神経発生懇話会というのが開催されていますが、その参加者166名の中で発生生物学会会員であるのは46名にすぎませんでした。ネマトーダ研究者の殆ど、ショウジョウバエ研究者の多く、エピジェネテイック分野の研究者、配偶子形成、受精、あるいはウニなどなどの分野の研究者が 発生学会年会より遠のいている/遠のきつつあります。再生医科学領域の研究者は殆ど参加していませんし、幹細胞研究者もこれからどうなるでしょうか。stemとはpluripotency とはという問いが発生生物学会から無くなってどうなのか。他方 システムバイオロジーとか数理とか、その他あたらしく興りつつある領域の取り込みにも 積極的,意識的とは言い難いのがこれ迄でした。大会長には発生研究の全体展望を求め、新しい分野への視点を求め、また、日本発生生物学会から失われた or 失われつつある分野、隣接する分野のトピックを、人材を含め視野に入れ、積極的にモチーフを持つ年会企画をして頂き、大会長の視野を問うという色彩をもっと出した方がいいと考えます。発生研究をする人は全員発生生物学会にということは求めるべくもありませんが、魅力のある人は 学会員であるかを問わず 積極的にお招きして頂けたらと考えます。準備委員会も大会長の地域に限らず、大会長の視野のもとで全国から選んで頂いたらと考えます。これまでは 寄付集めとか administrative な観点から年配の方に大会長をお願いする傾向がありましたが、それは学会本部が責任を持つこととして、今後大会長は現にサイエンスをリードしている方々にお願いする方向と思います。

 年会の英語化については、当面これを継続させていただきます。ただしこれにあたっては<Discussionが深まらない、違う領域の理解が困難、さらには、全国の修士で卒業する院生にインセンティブを与える場とはならない、裾野を失って研究者になる人だけ/一部の有力な大学のための学会でよいか、日本発生生物学会の年会かAsian-Pacific 地区の年会か>などの御意見のあることは踏まえておきたいと考えます。大会長の判断によりますが、前日の若手を対象とした日本語ワークショップは今後も続け、さまざまな試みをして頂けると思います。また、来年の2回目の若手を対象とした夏季シンポジウムがどのような集まりとなるかも鍵です。

 今年の新潟大会参加者644名のうち外国人参加者は55名で、海外からの外国人参加者は22名でした。英語化した以上Asia-Pacific の方々の参加を1割程度には 特に一般講演に と期待します。来年の京都大会はAPDBN との合同大会となりますので、これをきっかけとしてもう一歩大会の国際化にふみだしたいと考えます。このために学会本部としてはAsian-Pacific 地区の研究者にもっと積極的に参加を呼びかけ、外国人が参加しやすいようにウエブサイトでの情報提供を充実させ,大会登録サイトを海外も視野に改訂、また一定のフェローシップをもうける予定です。と同時に毎年の大会が、魅力あるスピーカーの名とともに、Asian-Pacificの研究者に魅力ある企画であることが重要なことはいう迄もありません。 COE などで 海外から研究者を呼ばれる時、国際研究集会を企画される際は 学会の時期に合わせて頂くことを御考慮頂けると幸いです。

 5年毎に細胞生物学会と合同大会をもつことになっており,次回は2012年になります。第一回の2002年は2つの異なる学会が同じときに同じ場所で隣接して大会をもったという形式でした。第二回の2007年には 発生生物学会の大会長と細胞生物学会の大会長が話し合って合同で企画し大会を開催しました。発生生物学会の会員数は 1,459 名、細胞生物学会の会員数は1.338 名で、両方にオーバーラップする会員数は 100名です。2007 年の合同大会参加者1、550名のうち両学会の会員である人は 26 名でした。他方で、発生学研究は多くの局面で細胞生物学とますますオーバーラップするという流れがあります。次回は両方の学会が同一の方を大会長に選出し、その下で大会が企画されます。この大会がどのような大会となるかを経て、その後の合同年会が検討されることになります。

発生生物学会には大都市だけでなく全国で大会を開催するというモチーフがありました。発生に限らずすべての分野でのことでありますが、地方の疲弊、格差拡大という情況があります。全国の大学で発生生物学会の学生会員数は減少し、正会員も数名というところが多くなってきました。単独で大会を引き受ける余裕も力も無いというのが地方の実情だと思います。全国の視点からの工夫を考える必要があります。従来は開催場所の過去の分布を考慮して 開催場所から大会長をお願いしてきました。今後は、開催場所は大会長を選ぶ第一要因ではなくなると思います。これとともに 大会長は必ずしも自らが勤務するする都市でなく、過去を考慮して開催場所を選び、その都市の方の助力を得て大会を開催することも考えて頂きたいと思います。

 大会開催のための寄付集め他 大会運営に関することは 学会本部が出来る限り請け負う体制を確立する方向にあります。アメリカのように大会長が行うのは企画だけというのが最終目標です。本部に委ねられることは委ねて頂き 事務局桃津さんにノウハウを蓄積するよう 大会長にはお願いしております。また 学術研究集会の本旨からも、健全な財政運営のうえからも、会場は立派でなくていいと思います。

 最後にひとこと見識を喚起したいと思います。一部のシンポジウムで同じ大学の人ばかりとか仲間内で演者を選んでいるケースが認められます。シンポジウム企画者は分野を見渡して視点を持って全体的に演者を選ぶのが当然で、大学のシンポジウムを大会で開催されても困ります。大会は大学や研究所の宣伝の場ではなく、科研費申請の実績作りの場でもありません。また、スピーカーはいい仕事をしている人を呼ぶのが当然で、偉い先生、留学時代の先生を呼ぶという発想が残っているのも論外です。

以上2つの懇談会での議論を会長としてまとめさせて頂きました。掲示板など(http://www.jsdb.jp/)でご意見を頂けると幸いです。